崩れる学級 育つ学級 どこが違う |
崩れる学級 育つ学級 何が違う どこが違う 最近は、実力ある先生の学級も崩壊するといいます。 はたして…そうでしょうか。 本当は、実力がなかったのではないでしょうか。 教師の力量、これにつきます(笑) 力がある教師が受け持つ学級は、崩れません。 力がない教師が受け持つ学級は、崩れます。 単純明快です。 「子どもが悪い」 という人が多いですね。 とんでもありません。 人のせいにする前に、自分の力量を見直しませんか。 教師が変われば、子どもは変わります。 問題は、「力量」です。 さて、「力量」とは、いったいなんでしょうか。 この稿では、次の4点から、切り込んでみました。
★見方・考え方 (視点を変える、発想) 見えない状態なのに、見えると錯覚しています。 多くの場合「わかったつもり」になっています。 見えていないことを自覚することがスタートラインなのです。 広く、高く、深く 多角 異次元 (例) こんなことがありました。ほんの些細なことです。 給食のかたづけの場面です。 「○○ちゃん、ちょっと通してくれる」 「うん」 私は感心してみていました。 うーん、いいなー。前だったら「そこどいて」といっていたのにな… 「通して」と「どいて」 話し手は同じような意味で使っています。 しかし、受け手はそう思いません。 「どいて」といわれて、いい氣持ちがする人はいないでしょう。 なにか、ないがしろにされている感じがしませんか。 相手の意志を無視 強行突破の「どいて」 相手の意思を尊重 やんわりの「通して」 いわれてみるとわかります。 使うときは無意識に 罪の意識はありません。 相手を配慮しているつもりになっています。 しかし、現実は相手無視になるのです。 配慮は、言葉に表れます ★ポイント 北海道にいくのに、九州に向かっている人がいます。 がむしゃらにやってもダメです。 ポイントを押さえなければいけません。 押さえどころ、コツ 微妙な部分 (例) ある学校で、授業をさせていただきました。 音読の授業です。 依頼者は、知り合いの若い先生(1年生担任)です。 だらっとしてしまう やる氣はあるが私語が多い メリハリがない 「うまくいかない」と悩んでいました。 一度授業してもらえないか というのです。 すべてに共通する大切なことを指導したいと思いました。 例えば、授業に取り組む姿勢、態度などです。 これらを、一つひとつ指導していくことにしました。 1時間目ということで、あいさつをしました。 教室節といわれるあいさつ。 「おはようございます」の語尾が上がります。スローです。 ※普通の社会では絶対にないいい方です。 これを「よし」とする風潮がまだ残っています。 「それは、幼稚園のいい方ですね」 「こういいます」 歯切れよく「おはようございます」といいました。 「さあ、やってみましょう」 3回やるとできました。 ※「できない」のではなく、やらせていないのです。 やればできます。 次は、さっと立つことです。 あいさつするのにさっと立てません。 ※この「さっと」は、大切です。 迅速な行動がとれるようになると、飛躍的に伸びます。 たいがいの場合、のろのろですね。 「1年生は、さっと立ちましょう」 「先生がやるから見ていてね」 実際にやってみせます。 腰掛けかたです。 「こうすると(背もたれにもたれると)すぐ立てません」 「こうします(背中をつけないようにします)」 やってみせます。 ※「やってみせる」ことが大切です。 イメージさせるのです。 いくら口でいっても無駄です。 「百聞は一見にしかず」です。 姿勢を教えます。 ・腰骨を立てる。 ・首をキリンにする。 ・手は、もものつけねに 見違えるように姿勢がよくなりました。 立ち方です。 「先生が合図をしたら立ちますよ」 「立って」 子どもたちが立ちます。 「まだまだ。もっとさっと立てるよ」 やってみせます。 「いくよー」 「はい、立たない」 じらします。 「立って」 何回かくり返します。 さっと立てるようになりました。 ※何度も同じことをやると、あきてしまいます。 ちょっとした変化をつけましょう。 じらすこともいいです。 次は、さっと立ってあいさつすることです。 「先生がみんなの前に立ったら、さっと立ちますよ」 「立ったらすぐあいさつします」 「いくよー」 何回かやります。 教師が前に立った瞬間、子どもたちがさっと立ちます。 すぐあいさつします。 腰掛けます。 この間約1秒。 ものすごくはやいです。 ※「さっと」できる快感を体感させます。 氣持ちよさを味わわせます。 数分で子どもたちの動きが変わってきました。 さっと立ってあいさつできるようになりました。 ※ポイントを押さえてやれば、数分で子どもの動きが変わります。 次は、教科書の出し方です。 「パッと出せるようになりましょう」 「国語の教科書を出して というからね」 「用意しておきましょう」 予告をします。 ※いきなりやるのでなく、予告します。 心の準備時間を与えるのです。 パッと出せるように準備させます。 「一番上にしておくといいよ」 何回かやります。 全員できるようになりました。 ※成功体験をさせます。 さっとできた氣持ちよさを体感させます。 「パッと出すことができました。すばらしい、りっぱですね」 うんとほめます。 「次は、音を出さないように出しましょう」 「そっと、スッと出しましょう」 やらせます。 「開いて出しましょう」 指をはさんでいる子がいます。下敷きをはさんでいる子がいます。 希望者には、ポストイット(付箋)を配ります。 「やってみよー」 できました。 ※無駄な音を出さない、ものすごく大切なことです。 すべてにかかわる重要事項です。 どうしたら、すぐにできるか、やり方を教えます。 さあ、音読につなげます。 「次は、つなげますよ」 さっと立って、あいさつ→腰掛ける →教科書を出す(開いて出す)→さっと立つ→音読を始める 連続技です。 このようにして、ステップアップしていきます。 いよいよ、音読の指導に入ります。 まずは、実態を把握をするため、1回読ませます。 予想通りの教室節(変な節がついている。読み方)です。スローです。 指導に入ります。 「くじらぐも」 題名だけを読ませます。 教師が見本を見せます。百聞は一見にしかずです。 どのように読むのかイメージできます。 ただし、わかってもできるとは限りません。 意識は変わっても、難しいのです。表現は。 何回か練習すると、できるようになりました。 このようにして、少しずつやっていきます。 所々、立ち止まりいろいろなことを教えます。 「空に」 どこを見て読んだらいいでしょう。 「上」 指摘されれば、わかります。 「やってみましょう」 視線を教えます。 「大きなくじら」というところを読ませます。 「大きな」だけを、読ませました。 今度は、個別指導です。一人ずつ読ませました。 はじめての学級。35人もの子どもたち。ちょっと時間がかかります。 3人が、変えて読みました。それ以外の子は、ほぼ同じです。 そこで、指導をします。 手を使います。くじらぐもを指さすのです。 頭から尻尾まで、指さしていきます。 「おーーーーきな」という感じです。 動きをつけると、読み方が変わります。 最後は、お互いに呼びかけるシーンです。 「おうい」(子どもたち) 「おうい」(くじらぐも) 教室を二つにわけました。 半分は、子ども役、半分は、くじら役です。 くじら役の子には、机の上に。見下ろすようにしていわせました。 高低をつけました。 子ども役→見上げていう くじら役→見下ろしていう ★ボーダーライン ターニングポイント、境界線 勝負所 (例) 掃除の時間、私は一人で教室掃除をします。 ときどき、出張当番の掃除個所を見て回ります。 きちんとやっている班もあれば、そうでない班もあります。 誰かがしゃべり始めると、つられておしゃべり 氣づいたときは総崩れ というのが、おきまりのパターンですね。 逆もあります。 展覧会のかたづけのときのことです。 だいたいの仕事が終わり、全体がだれ始めたとき、 Sくんがいったのです。 「よし、だいたい終わったから他の学年を手伝おう」 この一言で、雰囲氣が一変、子どもたちが、パッと散りました。 手伝いにいきました。 「もういいよ。休み時間だから」 「いえ、やります」 誰も休もうとはしません。 うれしく思いました。 みんなでかたづけを済ませました。 この違いは、どこからくるのでしょうか? 運命の分かれ道 というものがあります。 どっちを選ぶかで、180度違ってきます。 決断の時です。 大げさないい方かもしれませんが、毎日岐路に立つのです。 私たち(教師と子ども)は。 これを「ボーダーライン」と呼んでいます。勝負所ですね。 Sくんの一言で、ベクトルが、がんばる方に向きました。 総崩れになるか、ちゃんとやるか…ちょとしたことで、結果は驚くほど違ってきます。 ★システム システムとは、思いの具体化です。 具体化された形です。 すばらしい学級には、すばらしいシステムがあります。 ディズニーランドのシステム 「四字熟語カルタ」のシステム ※「崩れる」ではなく、教師が「崩す」んですね。 |
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取り違え 学級を崩す先生は、大事なところでミスをしています。 取り違えをしています。 たとえば
子どもを伸ばすことを忘れ、子どもに嫌われないことに意識が集中します。 本業は、子どもを伸ばすことです。 好かれる嫌われるなど、どうでもいいのです。 子どもを伸ばすために、私たち教師はいるのです。 |
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