回路づくり




   ある子とのかかわり

   書き初めの練習。
   だんだんよくなってきました。
   少なくとも、意識が濃くなっています。
   手に神経が通い始めました。
   回路ができつつあるのです。
   よしよし。
   「回路をつくる」というのが、教育です。
   わかる→できるへ
  
   回路をつくる

   もうすぐ、鉄人倶楽部の講座があります(26日 神戸)。
   私の話を聴いて「わかった」と思う人はたくさんいます。
   しかし…教室に戻ると「できない」のです。
  「あんなに簡単そうにしていたのに…」
  「できそうで…できない」
   という話を聴きます。
   回路ができていないのだから、できないのは当然です。
   「わかる」と「できる」は、違います。
   どのように「できる」ようにもっていくか。
   このへんが腕です。
   工夫です。
   
  
   「回路づくり」は進んでいます。
   「わかる」→「できる」へ移行するのは、難事業です。
   まずは、教師が認識すること。
   次に、子どもに教えることですね。
   私の場合、きちんと教えます。
   ・「わかる」=「できる」ではない。
   ・「できる」ようになるための「回路づくり」が必要。
   ・「回路をつくる」ために、反復練習が必要。
   このようなことがわかってくると、子どもは変わってきますね。
  「なんで、こんなことするの」
  「どうして、10回もするの」
  などといわなくなります。
  「今、回路づくりの段階なんだな」
  ということがわかっているからです。
   そうすると、練習をいやがらなくなります。

   「回路づくり」
   すぐにできる子もいますが…それは見かけだけです。
   練習をやめると、すぐ元に戻ってしまいます。
   即効性のあるものは、逆も即効性があるのです。
  
   その子には、時間をかけて指導してきました。
   これ以上ないくらいに時間をかけました。
   10マス計算かけ算の連続は、2分を切るまでになりました。
   24日最終日も、1:50。
   安定しています。
   回路ができつつあるのです。
   ×7、×8の段で、40秒くらいかかっています。
   まだ、回路が接触不良の状態なのです。
   ここを20秒でカバーすれば、1:30秒台が出せます。
   次なる課題は、×7、×8の回路の通りをよくすることです。

   「回路づくり」
   習字の方も、少しずつ回路ができつつあります。
   打ち込みが、何となくできるようになりました。
   意識が感じられます。
   まだ、45度にはほど遠いです。
   しかし、力を入れるようになりました。
   打ち込んでからすーっとひく、これが難しいですね。
   ぐぐぐぐっと力が入ってしまいます。
   手だけでひいてしまいます。
   ・無駄な力を抜く
   ・体全体でひく
   高度ですね。
   私も、なかなかできませんでした。
   書道の先生の動きをよーく見ました。
   先生は、手を取って教えてくださいました。
  「肘でリードすればいいんだ」
   ということがわかりました。
   さて、その子にどう伝えるか?

   「回路づくり」
   ということを頭に置いて指導しています。
   今、どことどこの回路をつなげるか。
   どこまでつながったか。
   つながったものを太くする。
   段階によって違いますが、明確に意識しています。
   子どもにも、少しですが、伝えています。
   
   まだまだですが、かなり意識できるようになってきました。
   45度に打ち込む という意識が濃くなっています。
   頭の回路はできてきました。
   今は、「頭と手」をつないでいます。
   ちょっと意識が弱まると、とたんに下手になります。
   ・角度が45度からはずれる。
   ・打ち込まない
   などなど。
   人間、意識によってこうも違うものかというくらいの差があります。

   「回路づくり」
   という発想があるかないかで、指導は大きく違ってきます。
   若いころの私には、このような発想はありませんでした。
   指導したら、すぐできるものと思っていたのです。
   10年くらい前は、かなり細かく指導できるようになっていました。
   しかし、超大物には効果的ではありませんでした。
   「回路づくり」を思いついたのは、5年くらい前からでしょうか。
   よく覚えていません。
   このような発想があると、待てるのです。
  「どうしてできないんだ」
  と思うことが、極端に少なくなります。
   待つことが大事だとわかっても、普通は待てません。
  「いつまで待てばいいの…」
  という思いがあるからです。
   人間、期限がわかれば待てるのです。
   しかし、期限なるものはあてになりません。
   こうだというものはありません。
   あいまいもことしています。
   その点、「回路づくり」は明確です。
   今、どのような回路をつくっているかを意識できます。
   あせらなくなります。
   「はやく」→「回路をつくる」へ。
   意識が変わります。
   ただただ実践すればいいのです。あとは。