大化けする子どもたち


 子どもたちのエネルギーは、すさまじいものがあります。
 「内なる力」が噴出すると、止まりません。
 マグマのように、あとからあとから出てきます。
 この稿では、大化けした子どもたちの姿を紹介します。

 作文120枚
 6年生を担任していたときのことです(教師3年目)。
 Sさんという子がいました。
 『やまなし』の評論文に取り組ませていたときのこと。
 ※このとき、クラス平均(原稿用紙50枚以上)
 Sさんは、何かにとりつかれたように書きまくりました。
 すさまじいの一言です。
 授業中はもちろん、休み時間、給食時間、放課後と書き続けました。
 家でも書いていました。
 母親から電話がありました。
「先生、この子夜中も作文を書いているんです。頼むから寝てちょうだいといっても、きかないんです」
「そうですか」
 私は、次の日「学校で寝なさい」といってしまいました。
 それくらいSさんに迫力がありました。
 
 彼女は、4日間で150枚近い評論文を書き上げました。
 
 
国語 『ふきのとう』
「さむかったね。」
「うん、さむかったね。」
と、ささやいています。

 この部分について、氣づいたことを書かせる。
 Aくん、書きも書いたり。
 なんと、40も書いた。
 もう、ノートがなくなってしまい、後半は原稿用紙に書いていた。
 給食の待ち時間、給食後、休み時間もやっていた。
 いつもとえらい違いである。
 ねばり強く取り組んだ。
 「もうやめたら」
 といっても、きかない。
 「やる」
 と一蹴されてしまった。
 大化けする可能性あり。

 Mくん、今日は字をていねいに書いた。
 しかも5ページ。
 すぐ疲れてしまう彼が…
 この集中力、持続力はどこからくるのだろうか?
 
 『たんぽぽ』の作文、大ブレイク。
 書き方のポイントをつかんだ子は、どんどん書いている。
「おもしろい」
「先生、国語嫌いだったけど好きになった」
「作文っておもしろいね」
「どうしておもしろいの?」
「すらすら書けるもん」
「考えがどんどん出てくるから」
「算数みたいにすらすらできる(すらすら書ける)から」
などなど。


『たんぽぽ』の作文。
 大大大ブレイク!
 ものすごい!
「先生、もっとやりたい!」
「すごーく、おもしろい」
 なにしろ、休み時間も半数の子が書いている。
 20分休みも昼休みも…
「休み時間なんだから遊んだら?」
「いいの。作文のほうがおもしろいの」
という感じである。
 Mさんは、4日間で30枚書いた。
 1日目は、オリエンテーション。
 実質3日間である。
 1日10枚。
 杉渕学級らしくなってきた。
 続く子は、19枚。
 18枚、17枚、16枚と続いている。
 

 kくんの奇跡

 4月、出会ったときは死んだような顔をしていた。
 目はとろんとし、口を開いている。
 授業中、手いたずら、ぼーっとのオンパレード。
 漢字は書けない、計算もできない…
 そのkくんが、変身した。
 2か月で、10マス計算すべての段10秒切れるようになった。
 10列連続では、1分20秒を切るまでになった。

 続いて、10マスかけ算を3週間でクリア。
 さらに、10マスひき算を2週間でクリア。

 クラスでも、速い方になった。

 1日で

 7月後半、ドリルを配る。
 ※力がついてきてから配るのが杉渕流。
 ドリルを手にした子どもたちは、大はしゃぎ。
「先生、家でもやっていいですか」
「もちろん」

 次の日、6人が全部やってきた。
 わずか1日で、ドリルを仕上げてしまったのである。
 強制されたら、まずできない。

 
 

 やる氣になったとき、すさまじいエネルギーが出ます。
 どの子も同じです。
 この子のどこにこんな力があったのか…
 まわりも本人もびっくりします。
 それくらいの力が眠っているのです。

 あまりある100題わり算
 四則計算の最高峰。
 難しいです。
 2分で100題となると、かなり難しいです。
 ちなみに、私は(久しぶりにやったところ)50題できませんでした。
 自分の年齢と同じくらいしかできませんでした。

 Hさんは、クラスの最後尾を走っていました。
 なかなか上達しません。
 30台前後をいったりきたりしていました。

 クラスでは、「1分切り」プロジェクト発足。
 1人が突破すると、続く子が出てきます。
 3分の2以上の子が、1分切りを達成。
 いやはや、凄まじいスピードです。