立ち上げの1週間



 立ち上げの1週間(冬休み後)

   初日
 
   後期後半がスタートしました。
 
  子どもたちの様子を見ました。
 
  看護当番だったので、昇降口玄関であいさつしました。
  男子は、声が出ています。
  女子は、声が出ていません。
 
  全校朝会。
  聴く態度は、驚くほどいいです。
  今までで一番でしょう。
 
  あいさつ35連発
  氣合が入っていました。
 
  歌、口が開いていません。
  注意すると、すぐに口があきました(笑)
  声は出ています。
 
  指名なし発言。
  発言する子は…積極的です。
  リズム・テンポがあります。
  内容もあります。
  しかし、まだ3分の1といったところですね。
  よく発言するのは。
 
  他にもいろいろありました。
  
  休み明けで、落ちているところもあります。
  しかし、以前にくらべると、格段にいいです。
  それほど落ちていないのです。
 
  休み明けなのに、よくなっていることもありました。
  「熟成」されてきたのです。
 
  あと、3か月しかありません。
  「ゆっくり急げ」
 
  今、スタートしました。
  

  2日目

  ◆地が出る2日目
  後期後半がスタートしました。
  今日は2日目。
  初日は、緊張しています。
  本来の姿ではありません。
  ちょっと無理した姿です。
  2日目となると、地が出ます。
 
  看護当番だったので、よくわかりました。
  遅刻してくる子が、多いのです。
  いつも3倍以上。
  早起きができていないのでしょうね。
  ・氣持ちの切り替え…学校が始まった。がんばろう。
  ・リズムの切り替え…休み→学校のリズム
  ・体→ふつうモード
 
  これらすべてが変わらないと、切り替えたことになりません。
  多くの子は、体の状態が変わっていません。
 
  A小でも、話題になりました。
  全国の仲間の中でも、話題になりました。
 「昨日はよかったのに、今日はどうして?」
  人生そんなものです。
 
  わが学級も、地が出ました。
  ・しゃべり
  ・動きの鈍さ…移動、休み時間から授業への切り替え
  もちろん、全員ではありません。
  特定の子です。
  きちんとできている子が多いので、目立ちます。
  その子たちに影響され、崩れる子が出てきます。
 
  緊張感が薄れるのが2日目。
  これからが、本当のスタートです。


  2日目は、熟成がよく見えました。
 
  ★あいさつ35連発
  コンディションがよくなくても声が出ます。
  まだ、無意識までは行きません。
  意識して声を出しています。
  声量は、かなりのもの。
  安定しています。
  つなぎもスムーズです。
 
  ★50パーセントオフ(斑学)
  班学も、軌道に乗ってきました。
  さっと、始まります。
  取りかかりが早いです。
  全力でおこなっています。
  すべての班が全力を出すと、異空間となります。
  この教室の雰囲氣が好きです。
  圧倒的な迫力です。
 
  ◆歌
  休み明けでも、声量は落ちていません。
  一人ずつ歌わせてみました。
  声の出のチェックです。
  『旅立ちの時』より「夢をつかむ者たちよ」の部分です。
  多くの子は、驚くほど成長。
  少数の子は、成長。
  全体のレベルは、ぐんと上がってきています。
  歌も、次元が変わってきました。
 
  ◆書き初め
  書き初めの練習と清書。
  意識して練習っしています。
  もちろん、意識しても手が動かないことがあります。
  頭でわかってもできないこともあります。
  ※実技の場合。
  筆が思うように動かない…
  教師の出番です。
  後ろから手を取って教えます。
  次に見ると…見事な字を書いていました。
  一回の指導で、ぐんとうまくなるのです。
  上達力がついてきました。
 
  集中力もアップしています。
  そして、スピード。
  清書も、さっと仕上げます。
  ていねいに早く書くことができるようになりました。
 
  ◆算数
  30分間で、
  ・その単元すべてを復習
  ・メインの問題
  ・難問題
  をこなします。
  集中力とスピードがついてきました。
 
  などなど、いろいろなところに「熟成」が見られます。
 
  教師の方は…老成(笑)
  
 
   
   
 3日目


   2週間の冬休み、2日間登校、3連休…
  学校生活のリズムをつくるのは、難しいですね。
 
  今日は、いろいろなことが見えた1日でした。
 
  ★自分自身に言い聴かせる
  A小は、今、インフルエンザが流行しています。
  今日は、50人以上が欠席…
  子どもたちに聴いていました。
  ある子がいいました。
 「ぼくは、かぜにかからない」
  その通りです。
  自分自身に言い聴かせるのです。
  多くの子は、わらっていました。
  私は笑いませんでした。
  同じことをしているからです。
  宣言するのです。
  体に命令するのです。
 
  ★短時間×多回数
  子どもを伸ばす原則です。
  ・一度に何度もくり返す。
  ・一日に何度もくり返す。
  ・毎日毎日くり返す。
  ほんのちょっとの時間でいいのです。
  くり返すのです。
  「短時間×多回数」をくり返していると…
  奇跡が起こります。
  奇跡とは、積み重ねから生まれるのです。
 
  ★感覚→言葉
  若手教師を見ていると、共通していることがあります。
  ほとんどの人が、言葉→感覚に進んでいきます。
  知識を得て→実行するのです。
  別に、悪いことではありません。
  あると思います(笑)
  しかし…えてして、頭でっかちになりがちです。
  体の細胞が理解していないのです。
  体で理解していないと、実践はうまくいきません。
  格好いいことをいう人がいます。
  教室の事実は、そのようになっているのでしょうか?
  ほとんどの場合、なっていません。
  事実がある人は、格好いいことはいえないのです。
  実践とは、泥臭いもの。
  格好いいこという人は、嘘くさい(笑)
  私はこのように思っています。
  自分の言葉で語ることができません。
  受け売りです。
  ほとんど、いや、全部、どこかで聴いたことがある言葉です。
 
  子どもも同様です。
  言葉→感覚
  上達が遅いです。
  今、感覚→言葉につながる授業づくりをしています。
 
 
 

 4日目

 ◆感覚でつかむ
  学年合同授業は、卒業式ソングの練習です。
  今回初めて、階段を使いました。
  学級ごとに、階段で歌わせるのです。
  階段は、よく響きます。
  実力以上の力が出ます。
  よく響くので、氣持ちいいです。
  ※カラオケのエコーのようなものです。
  教室では、「響く」という感覚をつかみにくいです。
  階段だと、よく響くのでつかみやすいのです。
 「これが響くということか」
  言葉でなく、感覚的にわかります。
 
  この「感覚的にわかる」ということが重要です。
 
  ◆三練
  感覚をつかませるには、条件がよいところがいいです。
  よく響く階段を使って練習させます。
  「響く」という感覚をつかむことができます。
  「上達した」と錯覚します。
  教育は、錯覚が大切です。
  その錯覚を本物にすればよいのです。
  うそからでたまこと!
 
  力をつけるには、負荷をかけます。
  校庭で歌わせます。
  外は、響きません。
  何とか響かせようと思って練習するようになります。
  教室に戻ると、歌が違ってきます。
 
  このように、練習は
  ・通常
  ・よい条件
  ・悪い条件
  の3つでおこなうのがいいと思います。
  これを「三練」といいます。
 
 ◆テストをチェンジ!
  今日の漢字テストは、違うプリントを使いました。
  同じプリントだと、努力度がわかります。
  違うプリントだと、実力がわかります。
 
  違うプリントを使うと、おもしろい現象が起こります。
 
  力がついてきた子は、テストを選びません。
  どんなテストでもできます。
  できない子もテストを選びません。
  どんなテストでもできません(笑)
 
  中間層が、2つにわかれます。
   1 がくんと落ちる。
   2 ちょっと落ちる。
  がくんと落ちる子は、まだ実力がついていません。→練習が必要。
  ちょっと落ちる子は、もう少し努力するとぐんとよくなります。
 
  このようにすると、子どもの実態をつかむことができます。
  粗くいうと、四層にわかれます。
  それぞれに応じて、働きかけます。

  ◆両極のアタック  「考えさせる」と「教える」
 
  理科の授業です。
  教科書の一文を取り上げます。
 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃ 食塩を水にいれてみよう。                     ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
  見えたことをいわせます。
 
  とまどう子が多い。
  実力があるということは、見えるということである。
  普通の人には見えないものが見える。
  全員発言。
  私が問うたこと
  ・砂糖ではダメなのか、どうして食塩を選んだのか。
  ・どんな塩でもいいのか。
  ・どのくらいの量を入れるのか。
  ・少しずつ入れるのか、いっぺんに入れるのか。
  ・スプーンで入れるのか、何か袋に入れて入れるのか。
 
  「水」について
  全員発言。
  ・水を使うのは理由がある。
  ・塩が溶けるようすがよくわかる。
  ・水は透明だから、溶けるようすがよくわかる。
  ・水は無色透明だから、塩がとけるようすがよくわかる。
  ・毒が入ってない(笑)
  ・害になるような物質が入ってない。
  私が問うたこと
  ・水の量は
  ・水道水、ミネラルウオーター どんな水でもいいのか?
  ・水の温度は、関係するのか?
  などなど。
 
  子どもたちに考えさせます。
  自力は地力をつける最捷径です。
  横道です。いや、王道です。
  しかし、それだけだと詰まってしまいます。
  「考える」視点がないと、考えることができません。
  ですから、教師が教えます。
 「ああ、そうか」
 「そうやって、考えればいいのか」
  子どもたちは学びます。
  次に考えるとき、学んだことを使えばいいのです。
 
  ・自分で発見する。
  ・教師、友だちの見方・考え方→自分のものにする。
  両極のアタック。
 
 


 5日目


 ◆学校に行きたい
 
  私の学級らしい現象があらわれました。
  ある子が、熱を出して欠席。
  38度以上の高熱です。
 「でも、ぼくは学校に行く」
  その子は、学校に行くといってきかなかったそうです。
  母親が何とか止めて、休ませたのです。
 
  熱があっても、何があっても学校に行きたい。
  やる氣のあらわれです。
  学校がエネルギーをもらえる場なのでしょう。
  
  先輩たちもそうでした。
  ・楽しいから。
  ・みんなに会いたい。
  ・先生のくだらないギャグを聴きたい(笑)
  ・みんなが先に進んでしまう。
  などなど。
 
  子どもは、育ってくるとタフになってきます。
  体も丈夫になるのです。
 
  風邪をひいても、すぐよくなります。
 
  高熱でも、学校に行きたがります。


  ◆別人
 
  本格的な歌の指導をはじめました。
  朝と帰りは、必ず練習させます。
  朝は、あまり声が出ていません。
  ※といっても、ふつうのレベルから見れば、すごい声量。
  帰りは、すごく声が出ています。
  ものすごい落差です。
 
  先輩たちは、朝から声が出ていました。
  ・家で声出しをしてくる。
  ・学校に着いたら、声出しをする。
  教師が来るまでに、準備をしているのです。
  意識が違います。
  心構えが違います。
  教師で言えば、サークルに参加するのと同じです。
  ただ参加する人は、得るものが少ないです。
  1か月間、精一杯努力し、課題を持ってさんかする…
  このような人は、得るものが多いです。
 
  ただし、言ってできることではありません。
  その子自身が、そう思わないと意味がありません。
 
  今、この落差を楽しんでいます。
  1日参観すると、この「別人現象」(笑)が見られます。
  実に、おもしろいです。

  ◆コツ
 
  この日は、つくえの動かし方を教えました。
  私は、進んで教えることをしません。
  準備が整ったら、教えます。
 
  若手教師に対するときも、同様です。
  その人の準備ができていなければ、教えません。
  準備ができていないと…
  聴いてもわかりません。
  耳を素通りしてしまいます。
  ですから、準備ができていない人には教えないのです。
 「あっ、準備ができたな」
  見ればすぐにわかります。
 
  今日は、そのタイミングでした。
  机を斑の形にします。
  ・どこを持つか。
  ・どっちの手に力を入れるか。
  ・どのように動かすか。
  など、聴いてみました。
  
  答えられません。
  それはそうでしょう。
  無意識に動かしているのですから。
 
  私の場合は、研究します。
  自分が研究したことを、話しました。
  
  机を動かす。
  ちょっとしたことです。
  しかし、この「ちょっとしたこと」が10集まると…
  変わってきます。
  100集まったら、別人になります。
 
  大切なことは、特別なことをすることではありません。
  「ちょっとしたこと」を突き詰めることです。
 
  コツをつかむということです。
  闇雲に努力しても、力はつきません。
  「コツの発見」
  自分で見つけるのが、一番です。
  しかし、なかなか発見できるものではありません。
  教えてもらって、実行する。
  これが、ふつうです。
 
  こだわりの一品(笑)
  つくえの動かし方編でした。

  ◆鍛えモード
 
  鍛えモードに入った杉渕学級。
  昨年は、このモードを封印しました。
  今年度は、全開でいこうと思っています。
  子どもにとっては、いい迷惑かもしれません。
  あると思います。
 
  発言+書く
  追究学習の要です。
 
  ★発言
  ・意欲、やる氣
  自主的な発言、積極的な発言は、やる氣のあらわれです。
  意見の質、内容は問題ではありません。
  しかし、子どもたちは質、内容を氣にします。
  かっこつけようとするのです。
  今までそのように育ってきたのです。
  これを変えるのは、かなり難しいです。
  ・質、内容
  子どもから出された典型的な発言を取り上げます。
  それを解説し、一般化します。
  教師が、見方・考え方を教えます。
  つまり、子どもの「解釈コード」を増やすのです。
  このように見る、こういう角度から見るなど、コツを教えます。
  それを使って、教材と格闘するのです。
  「見えないものが見えるようになる」指導です。
 
  やる氣+解釈コード これが、発言を決めます。
 
  ◆書く
  書くことで、認識します。
  いくらいい発言しても、それは川の流れ。
  ちょっとたつと、忘れてしまいます。
 
  教師の場合も同様です。
  まずは、見ることが大切。
  生を見る、体全体で見る。
  ビデオを撮っていると、全神経を集中できません。
  生を網膜に焼き付けるのです。
  いいイメージを、毛穴から入力するのです。
 
  あとで、記録を書きます。
  記憶が生々しいうちに、書くのです。
  このくり返しで、力をつけることができます。
 
  書くは、もっともハードな活動です。
  だからこそ、力がつくのです。